多くの都民、市民の皆さんから背中押されて、都知事選に立候補しました宇都宮健児です。私個人としては、3度目の挑戦ということになります。まずはじめに、新型コロナウイルス感染症により、東京都では都民の5,600人を超える方が感染しまして、そして300人を超える方が、亡くなっております。改めてコロナ感染症によって亡くなられた方に対して、心よりご冥福をお祈り申し上げます。また、現在も療養中の方々に対して、心よりお見舞いを申し上げます。コロナ災害に伴う、国や東京都の自粛要請、そして休業要請などによって、多くの都民が仕事を失い、住まいを失い、営業が困難となり、生活や命が脅かされています。そして、そういうしわ寄せは、とりわけ、シングルマザー、非正規労働者、身体に障がいを持つ方々、そういう社会的、経済的に弱者と言われる方に、しわ寄せが及んでおります。
今回の選挙は、私は都民一人ひとりの生存権がかかった選挙だと、考えています。私が、この選挙で重視するのは、まず第一に、コロナ感染症から都民の命を守る、医療体制の充実と、そして自粛や休業に伴う補償を徹底するということであります。この間、東京都は、公衆衛生の拠点ともいうべき保健所を、大幅に減らしてきております。最大時71か所あった保健所が、現在は31か所に減少しております。そして、23区内では最大時53カ所あった保健所が、23カ所に減少しております。PCR検査の問い合わせが、保健所に殺到しました。しかしながら、保健所は数を減らされた上に、人が削減されて、パンク状態となりました。その結果、PCR検査が行えませんでした。日本のPCR検査数は、OECD、経済協力開発機構に加盟する36か国中35位ということであります。私は、このような体制を抜本的に強化する必要があると考えております。まず、PCR検査体制の抜本的強化が必要です。
これは、同じようなことを5月11日に出された、18都府県の知事が国に対して求めているものでもあります。そして、医療体制の充実や、保健所の強化、医療器具の充実、こういうことを徹底してやらないとダメだと思います。これから第2波、第3波が予想されるなか、都民の命を守るための医療体制の充実は、最も緊急な課題だと考えております。併せて、都民の生活、暮らしを守っていくそのことも求められております。多くの人々が仕事を失い、住まいを失っております。ネットカフェで寝泊まりされている方もおられ、4000人近くの方がネットカフェの休業要請によって路上に出されております。営業が継続が困難となった自営業者の方は、店を畳んでおります。私が最も心を痛めた報道が、4月末練馬区のとんかつ屋さんで火災事故が発生しました。この火災事故を検証した警察の調査によりますと、とんかつ屋さんの経営者は、油を頭からかぶった形跡があるということです。将来を悲観して焼身自殺を図ったのではないかと言われております。コロナ災害は、コロナ感染症によって、人々の命を奪うだけではなくて、経済的な困窮、経営が厳しくなって自ら命を絶つ、こういう人々が出てきているんです。こういう中で、コロナ感染症の被害拡大をこれ以上拡大させない。そして、都民の一人一人の命や暮らしを守る。そういう都政が、今こそ求められていると思っております。
私が重視する政策の2番目は、都立病院、公社病院、8つの都立病院、6つの公社病院を、独立行政法人化を中止して、さらに中止するだけではなくて、このような都立病院、公社病院を充実、強化を図るということです。小池知事は昨年12月の都議会で、突然、都立病院、公社病院の独立行政法人化をするという所信表明を発表しました。そして、このような方針は、コロナ感染症の拡大が広がって、多くの都民が感染をして、多くの都民の命が奪われている中でも、更新を改めた形跡はありません。コロナ感染症の患者を一番多く受け入れているのが都立病院や公社病院であります。感染患者の約7割を受け入れていると言われております。ご承知の通り、民間病院がコロナ感染症の患者を受け入れた場合、病院は赤字経営に転落をして、病院の維持すら困難になっています。こういうときこそ、公的な病院、それを維持、強化する、それが求められていると思っております。
小池知事は、コロナ感染症対策をしっかりやると言いながら、この病院の問題については、真逆のことをやろうとしてるんです。それは先ほどの、公衆衛生の拠点である保健所を減らしてきたこともそうです。小池知事は、ロックダウン、オーバーシュート、コロナ感染拡大、重大局面、あるいは東京アラート、こういうセンセーショナルな言葉を使って、パフォーマンスとしてはコロナ対策をしっかりやってるんだというふうに都民に映るかもしれませんけど、実際の感染症に対する対策を十分都政が準備したかというと、それは真逆のことをやってきたんではないかと思っております。コロナ感染症についても、第2波、第3波が予測されていますし、このような感染症は、おそらく10年単位で様々な感染症が襲いかかる、そういう状況になっていると思っております。それに備えるためにも、いまこそ都立病院や公社病院を充実させる。そして保健所の数を増やして人員も整備していく、こういうことが求められていると考えています。
次に、重視する政策として、オリンピック問題があります。オリンピックはコロナ感染症の拡大で来年に延期されました。しかしながら、おそらく多くの都民の方が、このまま開けるのかどうか、危惧されていると思います。世界中に、今、コロナ感染症が拡大をして、WHOによれば、パンデミックが続いています。オリンピックには、世界中の人が集まってきます。日本だけがコロナ感染症の予防対策をしっかりやって、克服したとしても、世界でコロナ感染症が蔓延している状態では、世界のスポーツ選手を日本に集めることはできないんじゃないかと思います。この点についても、私は感染症対策の専門家が、来年のオリンピック、パラリンピック開催は困難だと判断した場合は、積極的にIOC、国際オリンピック委員会に中止を働きかけます。そして中止によって浮いた予算については、コロナ災害で被害に遭った都民の救済に充てたいと考えております。
更にもう一つ、私が重視する政策は、カジノ誘致計画を、きっぱりと中止するということであります。現在東京都は、カジノの誘致に関する調査をするため、予算組みをしております。そして、カジノのメリット、デメリットを調査すると言っております。昨日の日本記者クラブの記者会見でも、私は小池さんに対して、カジノ中止をきっぱりと宣言すべきではないかということを、迫ったんでありますけど、小池さんは、今、メリットやデメリットを調査してるんだ、そういう答えしか返ってきませんでした。私たちが調査したところによりますと、現在カジノ誘致の有力候補地は、私が住んでる、江東区の、青海地区だということになっております。私たちは、江東区で学習会を開きまして、江東区にカジノはいらない。こういう市民運動を展開しております。カジノは、ギャンブル依存症の拡大、あるいは私が長年取り組んできた、多重債務問題の再燃、治安の悪化、様々な悪影響を及ぼします。とりわけ、児童、青年の教育環境には、悪影響を与えるものです。さらにカジノは、横文字でありますけど、日本語に訳すと、賭博、博打なんです。これは刑法で禁止されている犯罪なんです。そしてカジノは、カジノで負けた人の犠牲の上に成り立って経営が成り立っております。カジノで負けた人の中には、一家心中、一家離散、自ら命を絶つ、こういう人が、海外では出てきております。人の不幸の上にたって、そして、経済成長がある。こういうことは政治家として、絶対にやってはいけないことだと考えております。
私は、東京都はカジノをきっぱりと中止すべきであるというふうに考えております。私はこの間、サラ金や、闇金などから借金をした多重債務者の救済活動を長年にわたって行なってきました。また、2008年のリーマンショックの後、派遣労働者が派遣切りにあい、仕事を失うだけではなく、住まいを失って、野宿を余儀なくされた方が大量に出てきました。このような派遣労働者を支援するために、私たちは日比谷公園に、2008年の暮れから2009年の初めにかけて、年越し派遣村の取り組みを行い、支援活動を行ってきました。また私が、2011年、日弁連会長の時に、3月11日、東日本大震災と原発事故が発生しました。私は、東日本大震災原発事故の被災者、被害者の支援活動に奔走し、被災者と被害者の支援につながる立法や制度の確立をお願いしました。このような取り組みを通して、私は、今の日本の社会のあり方が、改めてこの災害を通じて問われているんじゃないかと考えております。これまでの日本の世界、私は、国民の命や暮らし、そして人びとの人権よりも、経済効率性ばかりを優先してきた、そういう社会であったんではないかという風に考えております。そして、今回のコロナ災害で、そのような社会のあり方の、脆弱性があらわになったのが、今回のコロナ災害ではなかったかと思っております。
個々の被害者の救済もそうですけど、私は今の社会のあり方が鋭く問われているのが、今回のコロナ災害であるということを考えております。経済効率性よりも国民や市民、都民の命や人びとの人権を優先する社会でないとダメだと思います。そして、経済効率性をばかりを優先する社会は、自己責任ばかり問われる社会だったと思います。そのような、自己責任社会から転換を求められているのも、今回のコロナ災害ではないでしょうか。自己責任社会を転換をして、人々、市民がもっともっとつながりあう、支え合う、社会的連帯が重視される社会が、今こそ求められていると思っております。そしてそういう社会こそ、都民一人ひとりが、希望の持てる社会ではないかと思っております。私は、この都知事選を通じて、都政の抜本的な改革を訴えていきたいと思っております。そして、都民の皆様一人ひとりと、手を携えて、新しい都政、都民の命や暮らしが、第一に重視される、そういう都政を確立したいと考えております。
このような都政の確立は、おそらく他の自治体にも大きな影響を与えると思いますし、国の政治のあり方も大きな影響を与えていくと思います。都政を変えることは、日本の政治のあり方、日本全体の社会のあり方を問うことになります。そういう気持ちで、あと2週間、頑張り抜きたいと思っております。だいぶ高齢になりましたけど、田舎で育ったもので、比較的足腰は丈夫な方です。また、記者会見の時に、記者の一人から、あなたは、地味をどのようにして克服しますか、こういう質問を受けました。私は、地味な人間なので、それを克服しようと思っても克服することはかないません。しかしながら、誰よりも、今回立候補した誰よりも、都民一人ひとりの命や暮らし、そしてとりわけ、コロナ災害でしわ寄せを受けている、社会的、経済的な弱者の皆さんに対する思い、それが、他の候補よりも私は強いと思っておりますし、政治を行う上で一番大事な要素だと思っております。したがって私は、地味を最大限ウリにして、これから2週間頑張って参りたいと思っております。都民の皆さんのご支援、ご協力を、改めてお願いしたいと思います。ありがとうございました。
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