安倍首相:え、緊急事態宣言を発出してから、10日が経ちました。この間、毎朝、店を開き、食料品など、生活必需品を、棚に並べてくださっている皆さんがいます。レジの対応してくださっている、皆さん。そして、物の流れを絶やすことのないよう、昼夜分かたず、配送に携わっている、皆さんが、おられます。緊急事態の中にあっても、私たちの生活を、守るために、事業を、営業を、継続してくださっている皆様に、心より感謝申し上げたいと思います。高齢者の介護施設や、保育所などでは、多くの職員の皆さんが、感染予防に細心の注意を払いながら、必要とする、方々のため、事業を続けてくださっています。電力やガス、水道の供給、ごみの収集・焼却、鉄道の運行、こうした社会インフラがしっかりと、維持されなければ、私たちの生活は、成り立ちません。そのために、日夜、頑張ってくださっている、皆さん、こうした皆さんの存在なくして、私たちは、長期にわたる、このウイルスの戦いに、打ち勝つことはできません。目に見えない、恐ろしい敵、との戦いを、支えてくださっているこうした、すべての皆様に、心より、御礼を申し上げます。
そして、人と人との接触を、最低7割、極力8割削減をする、との目標の実現に向けて、外出自粛の要請に応えてくださっている、国民の皆様に、改めて感謝申し上げます。事業者の皆さんにも、在宅勤務を原則とするなど、多大なご協力を頂いています。ま、しかし1日あたりの新規の感染者数は、まだ減少には至っていません。東京都では、本日、え、過去最高の200人を超える感染者、の報告がありました。大変、厳しい状況です。都市部の平日の人出は、感染拡大前と比べて、東京の渋谷周辺では6割程度、大阪の梅田周辺では7割程度、減少していますが、未だ、目標のレベルには、達していません。最低7割、極力8割、の、接触削減を、実現できない限り、1日あたりの、新規の、感染者数を、大きく、減少に、転じさせることは、困難です。え、累積の、感染者数は、東京都では既に3,000人に迫っています。大阪府でも、1,000人を超えました。各地で軽症者の皆さんに、ホテルなどで、療養していただく取り組みも進んでいますが、医療現場からは、悲鳴が上がっています。守る、守れる命も、守れなくなる。感染リスクと、背中合わせの中で、現場の医師や、看護師の皆さんの、肉体的な、精神的な負担は、限界に達しています。
皆さんに改めてお願いいたします。どうか、外出を控えてください。できる限り、人の接触を、避けてください。そのことが、医療現場を守り、多くの命を守ることになります。ひいては、皆さんや、皆さんの愛する人たちを、守ることにつながります。全ては、私たち、一人一人の行動にかかっています。昨日、緊急事態宣言の区域を、7都府県に留まることなく、日本全国へと、拡大することと致しました。尾身会長はじめ、諮問委員会の専門家の皆さんから、賛同を頂き、政府対策本部において、決定したものです。足もとでは、全国各地で、クラスターと呼ばれる集団感染が、確認されるようになっています。これについては、え、3月の、3連休における、緩み、都市部から地方への、人の移動が、全国に感染を拡大させた可能性があるというのが、専門家の皆様の分析です。また、東京都や大阪府など、7都府県ではすでに、知事による休業要請などが進む中で、一部に、コロナ疎開と呼ばれるような、外の地域への人の動きが、見られるとの指摘があります。
間もなく、ゴールデンウィークを迎えますが、感染者が多い、都市部から地方へ、人の流れが生まれるようなことは絶対に避けなければならない。それはもっとも、恐れるべき事態である、全国的かつ急速な蔓延を確実に引き起こすことになります。先週の記者会見でも、申し上げましたが、地方には、重症化リスクが高いと言われる、高齢者の方々が、たくさんいらっしゃいます。その感染リスクが高まれば、地域医療に大きな負担となり、ひいては国民生活、および国民経済に甚大な影響を及ぼす恐れがあります。こうした事態を避けるため、大型連休に先立ち、それぞれの地域で、観光施設への休業要請も必要となるでしょう。人の流れを、人の流入を防ぐため、各地域が、所要の緊急事態措置を講じることができるよう、今般、緊急事態宣言の、対象を、全国に、拡大することとしました。そのため期間についてはこれまで同様、え、ゴールデンウィークが終わる、5月6日までといたします。あと20日間、日本全体が一丸となって、このウイルスとの戦いを、戦い抜いていく。全国の都道府県と手を携えて、皆さんの健康と、命を守るため、あらゆる手段を尽くしていきたいと、考えています。
え、今回、緊急事態宣言を全国に広げ、ま、すべての国民の皆様に、ご協力をお願いします。感染症の影響が長引き、すべての国民の皆様が、厳しい状況に置かれています。長期戦も予想される中で、ウィルスとの戦いを、乗り切るためには、何よりも、国民の皆様との一体感が大切です。国民の皆様とともに、乗り越えてゆく。その思いで、全国すべての、国民の皆様を対象に、一律に、一人あたり10万円の給付を行うことを、決断いたしました。収入が著しく減少し、厳しい状況にあるご家庭に限って、一世帯あたり30万円、を給付する措置を、予定しておりましたが、国民の皆様から、寄せられた様々な声、与野党の皆様の声も踏まえまして、さらに、給付対象を拡大をすることといたしました。これに伴って、現金給付の総額も、これまでの6兆円から、14兆円を上回る、規模へと大幅に、拡大をすることをなります。補正予算の編成を、やり直すこととなるため、さらに、一週間程度の、時間を要することとなりますが、速やかな国会成立に向けて、ご協力をお願いしたいと思います。ここに至ったプロセスにおいて、混乱を招いてしまったことについては、私自身の責任であり、国民の皆様に、心からお詫びを申し上げたいと思います。
日々事態が大きく推移する中で、国民の皆さんの健康と暮らしを、何よりも最優先に、そして国民の皆さんの声に、しっかりと、耳を傾けながら、常にベストな判断をするよう、最善を尽くしていく。その、責任をこれからも果たしていく、決意であります。1日も早く、現金を皆さんのお手元に届けられるように、実施にあたる、自治体や、関係機関の方々と協力し、政府をあげて、全力で取り組んで参ります。え、リーマンショックの時、全国民一律配布した、定額給付金の際には、皆さんに案内をお送りする作業だけで、3ヶ月もの時間を要しました。そのため今回は、スピードを重視するとともに、申請する人が殺到して感染するリスクを高まることを、避ける観点から、手続きについては、え、市町村の窓口ではなく、郵送や、オンラインによることにしたいと考えています。
あ、緊急事態宣言が、拡大することにより、全国の観光業、飲食業の皆さん。イベントに携わる方々には、大変なご苦労をおかけしています。事業者の皆さんへの現金給付も、速やかに実施をしていきます。休業要請を行っている自治体では、個別に協力金をお配りする、動きもありますが、国として、休業要請をした、そして休業要請に応じた方々のみならず、今回の感染症で売り上げが減少した、事業者の皆さんを、全国的に幅広く支援してまいります。中小、中小法人は200万円。フリーランスを含む、個人事業者の皆さんには100万円を上限に、国として現金給付を行ってまいります。また、納税時期が迫っている皆さんも多いとも思いますが、納税や社会保険料の納付を、猶予することで、手持ち、手元資金を、事業継続に活用していただけるようにします。この困難な中にあって、本当に歯を食いしばって、頑張っておられる皆様。必死に前を向いて、取り組んでおられる皆さんを、政府は、あらゆる手を尽くして、支援してまいります。皆さんの努力は、決して、無駄にしません。ともに、この緊急事態を、乗り越えて参りましょう。
このところ相次いで、病院内でのクラスター発生、院内感染が報告され、事態を、大変憂慮しております。全ての医師、看護師、看護助手、そして病院スタッフの皆さん、臨床検査技師の皆さん、さらには保健所の皆さん。こうした皆さんこそが、いま最前線にあって、感染リスクと、背中あわせの過酷な環境で、ウイルスとの戦いに、臨んでくださっています。この現実に立ち向かうため、国として、自治体と連携し、感染予防に必要な、医療防護具を一つでも多く、現場に、お届けします。医療用ガウンや、高機能マスクなど、産業界の、全面的な協力を得て、調達いたします。今週から、初診も含めたオンライン診療を、解禁しました。院内感染のリスクを減らすためにも、すべての皆さんや、まさにすべての皆さんに、電話やオンラインなどでの診療を、積極的に、ご活用いただきたいと思います。各地の医師会の協力も得て、検査センターを設置します。かかりつけ医の皆さんが必要と判断した場合には、直接、このセンターで、検体を採取し、民間検査機関に送ることで、保健所などの負担を軽減して、まいります。厳しい現実に、立ち向かうため、国としてこれまでに、延べ、13,000人を超える自衛隊員を動員し、自治体による、軽症者の宿泊施設への、移送など、支援してまいりました。医療支援を重症者に集中することで、医療現場の、負担軽減に取り組みます。今この瞬間も、重症者の命を救うため、命を守るため、懸命に、治療にあたってくださっている、医師、看護師の皆さん、医療従事者の皆さんのため、診療報酬を、診療報酬を倍増するなど、処遇の改善にもしっかりと、取り組んでまいります。
そして、え、現実的に必死で立ち向かっている、現場の皆さんに、私達は、心からの敬意と、感謝の気持ちを表すことができます。現在の厳しい状況に全力で立ち向かっている、医療従事者の皆さんに、全国各地で、拍手を送り、また、ライトアップを行って、感謝の気持ちを示す取り組みが行われています。本当にありがとうございます。でも私たちには、もっと、できることがあります。それは、目の前の、現実に立ち向かうだけでなく、未来を変えることです。私達全員が、いま不要不急の外出を避けることで、2週間後の新規の感染者数を、劇的に減らすことができます。それは間違いなく、医療現場の負担を、減らすことにつながります。2週間後の、医療現場の、状況を、決めるのは、まさに今なんです。未来は、私たちの、今の、行動にかかっています。医療現場を支えるため、その負担を、減らしてください。皆さんの力で、未来を変えてください。緊急事態に、皆さんのご協力を、お願い致します。私からは以上であります。
司会:それではこれから皆さま方からのご質問をいただきます。質問には安倍総理と尾身会長にお答えをいただきますので、総理、会長におかれましては所定の位置にご移動いただけますでしょうか。質問の内容によりましては会長からご説明をいただくこともございますのでご了解を頂戴したいと思います。質問される方、恒例によりまして挙手でお願いいたします。私が指名をいたしますので、指名をお受けになった方は近くのスタンドマイクの前までお進みいただきまして、所属とお名前をあらためて明らかにされた上でご質問をお願いいたします。質問のご希望の意思表示、発声ではなく挙手でお願いいたします。
記者:緊急事態宣言の全国への拡大についてお伺いします。対象地域に追加するよう求めていた愛知県などからは評価する声がある一方、感染者が少ない地域では、唐突な政府の決定に驚きの声も上がっております。国民の自由や権利の制限を伴う緊急事態宣言について、政府はこれまで累積の感染者数など3つの指標を重視し、慎重に見極めて判断するとしてきましたが、今回、一気に拡大した背景に、厚生労働省のクラスター対策班が公表した厳しい先行きの指針など、推計があったのかを含め、政治決断に至った理由をお聞かせください。また、期間は5月6日までですが、今、総理から長期戦も覚悟されるというお話がありました。今後の生活に不安を抱く人も多い中、感染者数がどの程度になれば解除され、5月何日ごろに、どんな状況なら宣言を延長する判断を下すことになるのでしょうか。見通しをお聞かせください。
安倍首相:今回、緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大することになりました。もちろん中には、自分の県ではまだ本当に感染者は少ないのにという声もありましたが、しかし同時に、例えばまったく今、感染者がおられない岩手県の方、テレビで見たんですが、ゼロだけれども、もしかしたらこの連休等に多くの方が東京とか都市部からやって来られるかもしれない、そこでさらに感染が広がるかもしれないので、あらかじめそういう指定をしてもらって良かったという声も聞いております。専門家の皆さまによれば、都市部からの人の移動等によりクラスターが各地で発生し、全国的な感染拡大の傾向が見られるとの見解でありました。特に地方には、先ほどお話しをさせていただきましたが、重症化リスクの高い高齢者の方々がたくさんいらっしゃるわけであります。そこでもし感染が広がれば医療現場に大変な負担が掛かり、医療提供体制にこれは大きな、地域の医療にも大きな負担になるわけであります。
このため、特にこの大型連休、ゴールデンウィークを迎えるに当たって長期間の旅行や、また帰省等で多くの人が移動するということが予想される中にあって、人の移動を最小化するとの観点から全国を対象にしたところであります。国民の皆さまには大変ご不便をお掛けいたしますが、この国難ともいえる状況をすべての地域の皆さんと共に乗り越えていきたいと思います。クラスター対策班の示した先行き推計との関係においては、尾身先生、よろしいですか。
尾身氏:先行きのことについては、実はもう皆さんご承知のように、今、見ている報告数というのはだいたい2週間前ということはもう何度もいわれていますので、先行きどうなるかというのは実は5月の6日ぐらい、1カ月たってみると、いわゆる極力8割というものがどのぐらい達成したのかということで、いわゆるエピカーブという感染症のカーブ、これが当初に比べて平坦なのか、あるいは残念ながら下がらないのか、あるいは下がっても、かなりわれわれが期待するような下がり方をするのか、あるいは下がるんだけども、少し下がり方が緩やかだということは、今はまだ評価することは早過ぎるので、それが5月6日ごろになるとだいたいのことが言える。その評価を基にこれからどうすべきかというのも、われわれ専門家としては政府のほうに提言をしたいと思っています。
安倍首相:今、尾身先生からもご説明がございましたが、専門家の皆さまの提言もいただきながら、5月6日を延ばすのかどうかということについて判断をさせていただきたい。あくまでも専門家の皆さまのお話をいただいた上で判断をしていきたいと、こう思っています。大切なことは、最低でも7割、極力8割、人との接触を減らすこと。これが一番大切なことだろうと思っています。
記者:全国民への一律10万円の現金給付は、一部の減収世帯を対象とした30万円の給付の補正予算を組み替えるという異例の経過をたどっています。当初の想定から支給日が遅れる可能性もあり、なぜ最初から一律給付にできなかったのかとの疑問の声も上がっています。先ほど総理は、混乱を招いた責任についておわびすると率直におっしゃいました。この現金給付に関する一連の判断や対応のどこが問題だったかとお考えでしょうか。そもそもすべての国民に10万円の現金を給付しなければならない理由はなんなのか。また、実際に給付する際は、事前に振込先の口座などを申請した国民全員が受け取れるという流れになるのか。現時点で想定されている具体的なイメージも併せてお伺いします。
安倍首相:今回の緊急経済対策について政府は、また与党において議論をしたときにおいても、一律10万円という議論もございました。一方そのときに、リーマンショックのときに1万2000円をすべての国民の皆さんにお配りをした。しかし、いわば経済効果という観点からすれば、多くがこれは寝てしまった、預金となってしまったという反省点もありました。この30万円を決定した議論を行ったときには、2つのフェーズに分けて、今、非常に特定の業者、特定の事業の皆さんが、旅行に関わる事業の皆さんが大変な打撃を受けている中において、その皆さんをまず手厚く支援していく。そしてその先で収束が見えてきた、あるいは収束した段階においてV字回復をしていくという中において、その消費をすべての国民の皆さまが活用できる形で喚起していこうという判断をさせていただきました。しかし、緊急事態宣言を行い、また今回、全国においてそれを広げてきたところでございますが、まさに特定の事業者、あるいはその周辺の関係者の皆さんだけではなくて、ほとんどの国民の皆さまがそれぞれ外出を自粛しなければいけない、どうなるかという本当に不安の中にあるわけでありまして、ここはもう皆さんが、国民みんなでこの状況を乗り越えていく、連帯して乗り越えていくということの中においては一律10万円、すべての国民の皆さんにお配りをするという方向が、新しいそういう判断をさせていただきました。
私も国民の皆さまからそういう声が強いということも承知をしておりました。そしてまた、与党からもそういう議論がありました。野党の皆さんもそういうお話があった中において、なんとかこの4月中に、国会の手続きも含めて、なんとか終えるぎりぎりのタイミングでこういう判断をさせていただいた。しかし、先ほど申し上げましたように、これは1週間遅れることになりましたから、もっと判断を早くしておけば良かった。これは責任は私にありますので、あらためて国民の皆さまにおわびを申し上げたいと、こう思います。その上で、できるだけ早くこの現金を国民の皆さまのお手元にお届けしたいと思っています。どういう方法があるかということにおいては、例えばリーマンショック時は、全戸に対する給付申請の確認等に時間を要しまして、予算成立から多くの方々に給付を行うまでに3カ月の期間を要したわけでありまして、今回は申請手続きの簡素化と、さまざまな工夫をして、できる限り早く国民の皆さまにお渡しできるようにしたい。そしてまた先ほど申し上げましたように、感染リスクを減らすために郵送等でお届けをさせていただきたいと思っています。具体的な方法については今まさに、もう急ピッチで作業を進めています。まさにこれはスピードが極めて重要だと思っておりますので、できるだけ早く、いつまでにということをお伝えできるようにしていきたいと思っています
記者:総理は先ほど、衆議院の厚生労働委員会でもお話しされていましたけれども、今、医療現場は非常に、医師の方あるいは看護師の方の防護服の不足と、それからマスクの不足が非常に深刻な状況になっております。その問題についてどういうふうな現在、対応をされているのかお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
安倍首相:国民の命、健康を守るために過酷な状況の中で感染と背中合わせで、感染リスクと背中合わせで最前線で闘っておられるのはまさに医療関係者の皆さまです。看護師、看護助手、あるいはもちろん医師の皆さま、病院関係の皆さまや臨床検査技師等々、医療関係の皆さまにあらためて御礼を申し上げたいと思いますが、その皆さんが自らの感染を守るためのマスクやゴーグルや防護のガウン、医療用ガウン等が不足している、十分に供給できない、できていないということは、総理大臣として申し訳ないと思っております。その中で、今まで海外に大きく、特に中国に大きく依存していたという問題点もありました。そこでこの医療物資の不足状況を緩和するために、プッシュ型で提供していくこととしております。まず第1弾の緊急事態宣言が発出された7都府県に対して、サージカルマスクを今週中に1000万枚、そして医療用ガウンおよびフェースシールドをそれぞれ今週中に10万枚、今月中に90万枚、また、N95マスク、また、KN95マスクを今週中に約7万枚、今月中に約70万枚、配布をします。また、これまで医療機関へのサージカルマスクの優先的な配布を行ってきましたが、これに加えまして、介護施設やあるいは小中学校、また、妊婦の方々に対して、感染拡大防止の観点から布マスクの配布を行ってきました。その上でさらに枚数が確保できる見通しとなったことから、手に入らずに困っている方々がたくさんいらっしゃるという認識の下に、国民の皆さまに広くこの布マスクの配布を行わせていただくことといたしました。
もうこれは洗えば何回も使えるものでございまして、マスク需要の抑制にもつながっていくと考えております。シンガポールでも全国民に対する布マスクの配布を行っていると伺っておりますし、また、パリ市においてもそういう決定がなされたと聞いています。また、昨日と一昨日には、医療物資の増産等の取り組みをしていただいている企業の代表者の方々と意見交換を行いました。さらなる供給の確保に向けたお願いをさせていただいたところなんですが、これは従来の医療機器メーカーだけではなくて、例えば自動車メーカーや、あるいは電器メーカーなど、異業種の方々も含めて総力を結集をしていただきたい、全力を尽くしていただくというお話も、力強いお話もいただきました。まさに現場で頑張っている皆さんをできる限り支えていきたいと、こう思っています。
記者:緊急事態宣言についてお伺いいたします。総理は今回の宣言対象地域の拡大に当たって、ゴールデンウィークにおける人の移動を最小化する観点から全都道府県を緊急事態措置の対象とすると説明しておられます。人の移動の最小化に関して、大型連休中の新幹線や飛行機の減便などについて、鉄道・航空会社などに要請するお考えはございますでしょうか。対応をお伺いいたします。
安倍首相:鉄道や航空機も含めて、公共交通機関は国民生活や経済活動を支える、まさにインフラであります。例えばこの社会基盤を支えている基盤の1つなんだろうと、こう思います。基本的には緊急事態においても必要な機能を維持すべきと考えていますが、また、特定の期間に集中して混雑が起こることのないように、政府としては事業者に対して減便を要請する考えはありません。つまり減便することによって、かえってそこで混雑が起こるということにもなるんだろうと思います。また別途、それぞれ経営判断として減便されているところがあると承知しておりますが、政府として減便することによって、かえって特定の便等々、電車もそうですが、人が集中するということは避けたいと思っています。
記者:現金給付10万円の件でお尋ねいたします。今回のこの方針決定は、総理が総裁を務める自民党で、いわばこの政審・総務という決定のプロセスを経て決定したものなんですけれども、今回、結果的にそういったプロセスを否定した形になりました。これでお尋ねしたいんですが、総理としては党に対してなんらかの説明というのを行う考えはおありでしょうか。そして今回のような決定の在り方について、総理はどう考えていらっしゃるのか、お願いいたします。
安倍首相:自民党の長い歴史の中において、ご存じかご存じでないかは私も承知をしておりませんが、かつてはグリーンカードというものが、徹底したものを副総裁が、これは今、国民との関係においてやめるべきだといって変更したこともございました。また、私が部会長を務めていたときに、介護保険制度を導入する、徴収時期も部会の中で事実は決まっていたんですが、当時の政調会長がそれを変えるべきだといって直前にそれを変えたということもございました。いわばその時々の変化を見ながら、決まってきたことに対しても柔軟に対応していくということは政治に求められる要素の1つなんだろうと、こう思っております。今回も、確かに政調で議論をし、そして総務会で決定をしたということで決定がなされてきました。しかし、それを飛ばしてすぐに私が決めることはできません。当然また政調で今日、協議をいただき、ご了解をいただいたと思います。そうした総務会の議を経て決定がなされるというふうに承知をしております。ですからそこで決定がなされれば直ちにこの方向で作業を進めていきたいと、こう思っております。私が出ていくかどうかということでございますが、これは政調会長が責任を持って政調でご説明をし、そして総務会では高い見地からご議論をいただくということになるんだろうと思います。
記者:総理、先ほど予算案の組み替えについて責任のほうを取られる、取られるというか、責任のほうをおわび申し上げるということでしたが、この間の会見でも一斉休校について、感染者の拡大を防げなかったというふうに述べられました。最近では布マスクや星野源さんの動画でも批判を浴びてるんですが、この間の一連の新型コロナへの対応について、ご自身でどのように評価されていますでしょうか。よろしくお願いします。
安倍首相:全国の一斉休校は、私は判断として正しかったと思っています。あのあと多くの国々が一斉休校を行っていることからも明らかではないかと、そう思います。そしてまた、布マスクにつきましては先ほど申し上げましたように、まずはサージカルマスク等を医療機関にしっかりと配布をしながら、いわばサージカルマスクの受注について、この対応をしていく上においても、それ以外の、例えば介護施設等々については布マスクを配布させていただきました。今ご質問いただいた御社のネットでも布マスクを3300円で販売をしておられたということは承知をしておりますが、つまりそのような需要も十分にある中において、われわれもこの2枚の配布をさせていただいたと、こういうことでございます。
また、若い皆さんの、今、感染が増えている中で若い方々が移動することによって感染が拡大する。若い皆さんにどのように、なるべく自宅で外出を自粛していただくかという声を伝えるということでさまざまな工夫をさせていただきました。もちろんさまざまな批判があったということは受け止めておりますが、賛否両論あったんだろうと、こう思います。大切なことは、みんなでこの最低でも7割、できれば8割、人との接触を避けていくということに力を尽くしていくことではないのかなと思います。今までの現状はどうかということでありますが、とにかく1日も早く収束させることに全力を尽くしていきたいと、こう思っているところでございます。専門家の皆さまのご協力、ご助言もいただきながら、やるべきことは今まですべてやってきたつもりでございます。もちろん至らない点はあったとは思いますが、これからも全力を尽くして努力をしていきたいと、こう思っております。
記者:緊急事態宣言に関連してお聞きします。ハーバード大学の研究では、外出規制を解除するたびにこの反動によって感染が広がる可能性があって、今の医療体制のままでは2022年まで断続的に人間の行動を抑制する必要があると指摘しています。安倍総理はおっしゃる長期戦の覚悟ということであれば、国民が予見性を持って備える、行動できるようにする、その指針を示すことが重要だと考えますけども、安倍総理としては今後、緊急事態宣言を解除するか否かにかかわらず、来月7日以降も繁華街への外出自粛要請などは当面、継続されるというお考えでよろしいでしょうか。
安倍首相:例えば過去にスペイン風邪の大流行があった。あのときにもいったん収まったあと再び感染が拡大して大きな被害が出たと、こういう教訓にも学ばなければならないと思いますが、今回の新型コロナウイルスについてはまさに未知のウイルスであり、十分に確信を持って予見することは、これはできないということは申し上げなければならないと思います。その上において、この5月6日以降はどうなるか、夜の飲食店等への外出も含めてどうするかということについては、今から断定的なことを申し上げることはできません。これはやなり、いわゆる政治的に決めることではなくて、専門家の皆さまの意見をお伺いした上で判断をしたいと、こう思っております。
夜の街についてどうかということでありますが、夜の街については特にこれは3密ということもあり、また、夜の街のクラスターが発生しておりますので、この全国に広げたことを機会に、全国で夜の街への外出はできる限り控えていただきたいと、このように思います。その上で7日以降どうなるかということについてはちょっと尾身先生からお話も伺いたいと思います。
尾身氏:先ほど総理が申し上げたと思うんですけども、これは基本的にはわれわれ専門家も、5月の6日、どんな結果があるにしろ、それでゼロに、感染がなるということはないので、下火になっても小さな山はその後も続くというのがわれわれの見込みです。従ってどのぐらい、いわゆる国民への協力要請の程度を下げるかどうかというのは、5月6日時点での評価によると思いますが、1つだけ今の時点でほぼ間違いなく言えることは、感染が仮に下火になってもその後まったくゼロになるということはあり得ませんので、小さな山がまた何度か繰り返して来るということは当分、覚悟をしておいたほうが良いと思います。その小さな山がどのくらいになるかというのは、いろんな要素の積分でありますから、そのときの感染のレベルに応じて対策を、言ってみればガードを、厳しい非常にしたたかなウイルスをわれわれは今、対処しているわけですから、相手の動きによってガードを少し上げたり下げたりするということは当然必要になってくると思います。
記者:緊急事態宣言下での選挙について伺いたいと思います。コロナウイルスの感染拡大が続く中でも選挙というのは延期をされておりません。各選挙管理委員会では期日前投票の推奨、それから投票所への消毒液の設置などいろいろ対策を取っていますけれども、感染拡大が進む中で行われた選挙の投票率というのは軒並み下がっています。緊急事態宣言発令から10日がたちますけれども、有権者が安心して投票する権利を保障するための施策、例えば郵送投票の拡充、それからインターネット投票の検討とか、選挙の延期を検討するなどのお考えはありますでしょうか。
それから、総理は常々、国民に丁寧な説明をするというふうに発言をされているかと思いますけれども、この記者会見というのは参加する記者がすごく限定されていて、質問の数も限られているわけです。このように限定された形での記者会見を可能にしている現在の記者クラブ制度について、総理がどのようにお考えになっているか。それから今後、よりオープンな形での記者会見を開いていくお考えがあるのか、ここをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
安倍首相:まず、この状況の中で選挙をどうするかという話でございました。例えば韓国では先般、いわば総選挙が行われたわけでございますし、また、延期したところもあるわけであります。現在、日本においては静岡の衆議院の補欠選挙を行っています。民主主義の根幹である選挙については、いわば不要不急のものではないという判断の中において、感染リスクを避けながら実行させていただいています。ただ、今お話があったように、インターネット投票とかいろんな手段がありますよねというお話がありました。ただ、今の法制下ではそれはできないのでございますが、今後、こうしたことを契機にわれわれも、例えば診療においても今度、初めて対面ではない形で診察をしていただくことになりました。こういう大きな変化の中で、選挙もどう考えるべきかということについては当然、議論をしていく必要が。これはなるべく国会において議員の皆さんが議論していただくべきことだろうなと、こう思っています。なるべく投票率を上げる努力はこういう中でもしなければいけないし、今後どうすべきかということについては、基本的には、基本中の基本である選挙についてはできる限り実施をしていくこととしたいと、こういうふうに考えています。
それと、記者クラブの在り方。記者クラブの在り方というのは、これはまさに私が申し上げることではないかもしれません。それはまた、まさに時代の流れの中において、今までのメディアがすべてカバーしているのかといえば、もうそうではない時代になり始めましたよね。ですからその中でどう考えるかということについてはまさに、皆さま方に議論もしていただきたいなと思います。ただ、自民党政権の中において、こうした形でご質問いただいたのは初めてのことだろうと思います。こうした形でできる限り皆さんの機会も確保していきたい。どうしても、しかし総理大臣としての質問の時間というのは、もう皆さんの質問も受けていると何時間にもなっていくことにもなりますので、ある程度、時間も限らせていただきたいと思いますが、なるべくそうした機会も増やしていきたいと思っています。
記者:日本記者クラブという。
司会:すいません、ちょっとあとの、ほかの皆さんがご質問を希望されているんで、ちょっとほかの方に譲りたいと思います。
記者:休業要請に伴う各都道府県独自の協力金についてお伺いしたいと思います。各業者に対して、例えば京都府は中小企業20万円、個人事業主には10万円を支払うと。最大100万円の東京や大阪、一律50万円の愛知とはかなりの開きがあります。都道府県の財政力等の差でもらえる額が変わるというのは市民にとってかなり不公平感を感じると思うんですが、法の下の平等において国が責任を持って対処すべきだと考えますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
安倍首相:東京都が50万円、上乗せをしている。東京都は大変、財政力が強いということがあります。ただ、財政力の強弱によってさまざまなサービスが変わってきていますよね。例えばお子さんの医療費に対する支援の仕方も違ってきているんだろうと思います。そういう意味においてはそれぞれの地域によって差が出ている。それは地域の努力、あるいはどの予算に地域は力を入れているかということの結果でもあり、地方自治の観点からそういうことが行われているんだろうと思います。一方、今回の自粛等々、あるいは要請等々に関わっての対応については、国としては先ほど申し上げましたように、国としてはその特定の業種ではなくて、すべて収入が減少したところについては最大200万円、100万円の支援を行わせていただくということを決定させていただいているということでございまして、国としてはそれをお応えさせていただいている。あと、地方に1兆円の交付金を出させていただいています。
今回の交付金はリーマンショックのときと違って、国がやっているさまざまな措置はほとんど100%、国が負担をするという形、国が支給するという形でございますので、実際に使えるお金としては、地域が使える形としてはこの給付金、リーマンショックの給付金のときよりは相当多くなっているんだろうと思います。そうしたものも活用していただきたいと、こう思います。確かに京都は今回、ゴールデンウィークにおいてある程度、人が来るということも予想されていたということで減収になるところが多いんだろうと、こう思います。そういう旅館やホテル業、旅行関係者の皆さまにはこの100万円、200万円の給付金を活用していただく。あるいは個人においてはさらに20万円の緊急小口資金等も、最大80万円まで使えますので、返済免除付きでございますので、そういうものも活用していただきたいと思っています。
記者:まさに今、総理がおっしゃった緊急小口資金についてなんですが、現場の社会福祉協議会の窓口は大変混雑をしていて、2カ月待ちと言われたとか、あとは、丁寧に対応されているところもあると思うんですが、しゃくし定規な対応をされたとか、審査が厳しいという声も現場からは来ています、相談に行った人からはですね。こういった情勢、対応についてなんらか改善するお考えはありますでしょうか。
安倍首相:この緊急小口融資については開始後3週間で4万件の申請をいただいており、うち、貸付決定件数は、4万件の申請をいただいておりまして、決定件数は3万2000件でありまして、その額は54.8億円になっているというふうに承知をしておりますが、ぜひ多くの方々にこれを活用していただきたいと思ってます。その中で都市部を中心に相談が集中していることから、当座の生活費に特に急を要する場合は住民票等の添付書類が調わない段階でも窓口への来所を促して、そして住民票等は後日に提出することでも良いこととして対応することや、あるいは相談を経ずとも郵送で申し込む環境を整えることなどによって必要な取り組みを進めています。また、相当多くの方に利用され始めておりますので、相当、申し込みが殺到してなかなか時間が掛かるというお話を私も聞いています。そこで、金融機関などにもこの社会福祉協議会以外の窓口の活用、金融機関などを活用していきたいと思います。来週の実現に向けて調整を急いでおりまして、早急に体制を強化していきたいと思います。
司会:それでですが、このあと外交日程が近づいておりますので、最後の1問にさせていただきます。
記者:昨晩のG7首脳のテレビ会議では、WHOの徹底的な検証と改革の必要性を確認したとホワイトハウスは発表しています。トランプ大統領はWHOが中国寄りとして資金拠出の停止を表明していますが、総理はテレビ会議ではトランプ氏の主張をどう受け止め、WHOについてどのように発言しましたでしょうか。併せて、総理ご自身はWHOを中国寄りと考えていますか。WHOへの資金拠出を見直す考えはないでしょうか。
安倍首相:昨日のG7のテレビ会議では私から、今回のように世界に影響を与える感染症に対する対策については、やっぱりWHOを中心に国際社会が一致協力してこの感染症と闘わなければならないと、いわば国際機関としてはWHOしかないではないかという話をさせていただきました。同時に、今回と同様の事態に備えるためにも、WHOの機能については十分な検証を行うべきだということも申し上げたところでございます。ただ、もちろん検証を行うというのは、今回の事態に対してWHOを中心に世界が結束して対応していく、そしてそのあと検証をしていく必要はあるだろうということを申し上げました。そこで、WHOに対してはいろいろな見方があります。政治的に中立ではないのではないかという意見もございます。
日本はご承知のように、従来から台湾のオブザーバーとしての出席を強く求めてきている立場であります。そういう政治性を持たずに、まさにすべての人々の健康を守るということに徹するべきだということも日本は申し上げてきたところでありますが、今後、現場で支援を実施する、また、知見を有するWHOの協力は、このコロナウイルスとの闘いにおいては不可欠であるのも事実であろうと思います。日本が日本の分担金を削る、出さないということは、これはまったく考えておりません。今はまさにしっかりとWHOを支えていかなければならないと思います。ただ、問題点、課題もあるのも事実でありますから、そうしたことをしっかりと、この事態が収束したあと検証していくべきだろうというふうに考えています。
司会:それでは次の日程との関係がございまして、申し訳ありませんけども、これをもちまして本日の総理記者会見を結ばせていただきます。皆さまどうもご協力ありがとうございました。
安倍:どうもありがとうございました。
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